Hanakoya Blog
第6話 クレームから生まれたハイパー撥水コーティング
以前から撥水加工には自信があったつもりでした。店頭には「超撥水」と立派なポスターを掲げてスキーウエアなどの撥水加工を多く承っていた時、あるお客様から「撥水が効いてない」とクレームを頂きました。実際に水を掛けて試したところ、しっかりと水をはじいていたのですが、部分的に若干水が浸み込む個所がありました。「厳しいなぁ・・・」という気持ちでしたが、「この程度なら超撥水なんて看板を掲げるな!」とお叱りを受けました。
お客様は今までクリーニング店に撥水加工を依頼しても、満足のいく効果が得られなかったため、わざわざ遠方からお持ちいただいたようで、新品時の撥水性を期待されていたそうです。「結局、クリーニングすると撥水が低下する事なのですね?」「・・・・」私には言葉が出ませんでした。実際に撥水性を向上するために使用するフッ素樹脂はドライクリーニングの溶剤によって洗い流されるため、そのあとに再度、フッ素樹脂を繊維に吸着させるのですが、現状の撥水剤では新品時のような効果をだすことができなかったようです。
使用していた撥水剤のメーカーに問い合わせても、曖昧な返答だったので、他のメーカーに成分調査を依頼して驚きの調査結果を目の当たりにしました。成分のなかには撥水効果を低下させるものも含まれていたようです。クリーニング業界は価格競争が激しい為、単価を下げるための苦肉の策だったようです。メーカーの研究室に我々の要望を満たしてくれる撥水剤はないか試行錯誤を繰り返し、ようやくたどり着いたのが現在の撥水剤です。
オリジナル配合の撥水剤「ハイパー撥水コーティング」は、特殊なバインダーによって生地に吸着させ、その後の熱処理で本来の撥水性を実現しました。現在、スキーウエアやフィッシングウエア、トレンチコートには強力な撥水加工を施し、ダウンジャケット、スウェードブーツ、キャンバスバッグなどデリケートな素材には光触媒を配合して生地を保護する加工を施しています。こだわりの撥水加工「ハイパー撥水コーティング」はクレームから生まれたHanakoyaの宝物です。
平成23年12月3日掲載