Hanakoya Blog
第23話 ~取り扱い品目は危険物です~
第23話
~取り扱い品目は危険物です~
マッキントッシュコートといえば内側にゴムを張り付けた防水性に優れたコートです。
張りのある素材から醸し出される独特のシルエットや綿素材の発色の良さなど、非常にファッション性に優れたアイテムですね。
同じような素材で裏地と表地を貼り合わせたボンディング素材も同様に「マッキントッシュ風」などと謳われ、こちらも人気のアイテムです。
先日、某有名ブランドの定番コートをご依頼頂いたのですが、こちらもいわゆるマッキントッシュ風のボンディング素材です。
人気アイテムなので、Hanakoyaでも良くご依頼頂いています。
ただ、今回の商品は薄いライトグレーのコートで、洗ったことで裏地の濃い色がにじんでしまい、最終的に取れない状況に陥ってしまいました。
ちなみに洗濯表示には「水洗いして下さい。」と、Hanakoyaでもこのコートは水洗いとなります。
表示通りのクリーニング内容で不具合が起きた場合は商品自体に問題があるケースも考えられるため、原因を調べようとメーカーに問い合わせてみました。
連絡すると、
「クリーニング鑑定書を添付して商品を送ってほしい」
とのこと。
クリーニング鑑定書というのも初めて聞くものだったので、色々と調べていたところ、公的な研究機関で商品の染色堅牢度などを調べて頂けるようだ。
早速調べて頂いて鑑定書を同封してメーカーに送ったところ、後日メーカーより返答を頂きました。
「鑑定書では生地に問題ありと書かれていますが、この商品は2004年モデルで経年劣化による複合的な要素が色が出た要因と考えられます。大変申し訳ございませんが、こちらではお力になれることはございません。」
約一ヵ月間、話し合いを繰り返しましたが、メーカーは終始『経年劣化』を言い続けるばかりで明確な原因は分からず、話は平行線のままです。
最終的にこちらが折れるようなかたちで話が終結しました。
お客様にはその都度、状況をご報告し、事後対応させていただきました。
後で分かったことですが、この商品のクリーニング事故が頻繁に起きているということを知り、自分自身の知識のなさに反省するばかりでした。
現在、この商品は「クリーニングできません。」という表記になっていますが、メーカー側のトラブルを避けるための苦肉の策なのでしょう。
ちなみに、購入して4年以内のものは状況によっては対応して頂けるようです。
ただ、メーカーによっては対応の仕方が変わりますので、大まかな基準とお考え下さい。
ファッションアイテムはデザイン性が高まるとクリーニングが非常に困難なものになります。
今回のメーカーはその旨を伝えて販売されているようです。
消費者はどうしてもデザイン性に惹かれて購入しますが、長く着用したいのならメンテナンスも含めて購入を考える必要があります。
私は洗えないものでも洗う以上は綺麗にしなければいけません。
作る側と着る側、そしてメンテナンスする側、この三者それぞれに責任があるということです。
ただ、どうしてもファッション性が重視されるところなので、私たちの責任は重くなるばかりです。
今回の件を受けて改めて実感させられました。
良く工房内で「危険物」という言葉が飛び交うことがあります。
私たちの取り扱い品はモノですが、そこには「大切な人からプレゼントされた」や「母から譲り受けた」という「コト」が含まれてきます。
そんなお客様の大切なアイテムだから、言葉は悪いかもしれませんが、これからも危険物を扱うように慎重にケアしなければと改めて感じた次第です。